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結節性動脈周囲炎・結節性多発動脈炎について

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【結節性動脈周囲炎】

結節性動脈周囲炎(Periarteritis nodosa : PN)は、2005年から結節性多発動脈炎(Polyarteritis nodosa : PAN)と顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis : MPA)の2疾患に分離されました。その理由は、2疾患の間に病因、臨床症状、病理組織所見、検査成積、予後において、差異の存在することが明らかにされ たからです。

【結節性多発動脈炎(polyarteritis nodosa : PAN)】

■症状

MPAが除外されてからの症状は、従来の症状とは異なってきています。PANは全身諸臓器に分布する血管の血管炎であるため、症状は多彩であります。その症状は、炎症による全身症状と罹患臓器の炎症、及び虚血、梗塞による臓器障害の症状の両者よりなっています。

A.全身症状
全症例の中で、発熱(38~39℃)が80%に、体重減少が60%に、高血圧が20%の症例に認められます。発熱は抗生剤抵抗性 であり、かつ悪寒・戦慄を伴うことは稀です。体重減少は数ヶ月以内に6kg以上の減少をきたします。高血圧は糸球体虚血によりレニン・アンギオテンシン系 の活性化により発症し、悪性高血圧の所見を呈します。
B.臓器症状
頻度の高い順に列挙します。筋肉・関節症状は80%に、皮膚症状(紫斑、潰瘍、結節性紅斑)は60%に、腎障害(急性腎不全、腎 炎)・高血圧は50%に、末梢神経炎は50%に中枢神経症状(脳梗塞、脳出血)は25%に、消化器症状(消化管出血、穿孔、梗塞)は20%に、認められま す。又、心症状(心筋梗塞、心外膜症)や肺・胸膜症状、眼症状などを呈することもありますが、その頻度は稀であります。

■治療

疾患の病状により治療法に多少の差異が存在します。即ち、病状が重篤な症例では、初めにステロイドパルス療法を施行し、その後は 経口ステロイド(プレドニソロンPSL 0.8mg/kg/日)を投与します。又、1ヵ月後にはシクロホスファミド(cyclophosphamide:CY)を10~8mg/kg程度で点滴投 与します。この点滴を4~6回繰り返すのが一般的です。経口ステロイドは病状改善と共に漸減しますが、PSL5mg/日は数年に亘り再燃防止の為に継続投 与する必要があります。軽症例では、経口ステロイドのみで治療します。尚、腎不全には血液透析を、腸管穿孔では腸切除を要します。尚、病状の回復期には、 血管炎の治癒過程で生じる血管内腔の狭窄による末梢側の虚血から、種々の臓器障害を生じます。この為、血栓溶解薬、抗血小板凝集抑制薬、血管拡張薬を投与 します。

■予後

早期に診断し、血管病変が重篤化しない時期に治療を開始することが重要であります。早期に治療を行ないますと、完全寛解になる症例もあります。治療開始が遅延しますと、脳出血、消化管出血・穿孔、膵臓出血、心筋梗塞、腎不全で死亡する頻度が高くなります。

 

多くの症例は、多少の臓器障害を残して寛解に至ります。特に知覚障害、運動障害、維持透析でQOL(quality of life)の低下を来す症例が多く存在します。

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堀 勇
堀 勇
社会保険労務士 堀勇
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