特発性間質性肺炎について
1. 特発性間質性肺炎とは
「呼吸」は吸った空気(吸気)を、気道を介して、肺の奥にある「肺胞」と呼ばれる部屋に運び、肺胞の薄い壁の中を流れる毛細血管中の赤血球に酸素を与えると同時に二酸化炭素を取り出すガス交換をし、それをまた呼気として吐き出す運動で、生きていくために欠かせない作業です。間質性肺炎は、さまざまな原因からこの薄い肺胞壁に炎症をおこし、壁が厚く硬くなり(線維化)、呼吸をしてもガス交換ができにくくなる病気です。肺胞壁は保たれていても、肺の最小単位である小葉を囲んでいる小葉間隔壁や肺を包む胸膜が厚く線維化して肺が膨らむことができなくなる病態も知られるようになりました。線維化が進んで肺が硬く縮むと蜂巣病変といわれるような穴(嚢胞)ができて胸部CTで確認されます。特徴的な症状としては、安静時には感じない呼吸困難感が、歩行中や入浴・排便などの日常生活の動作の中で感じるようになります(労作時呼吸困難)。季節に関係なく痰を伴わない空咳(乾性咳嗽)で悩まされることもあります。長年かけて次第に進行してくるので自覚症状が出るころにはかなり病態が悪化していることが多いのですが、「急性増悪」といって、風邪様症状の後、急激に呼吸困難となって病院に搬送されることもあります。
2. この病気の原因はわかっているのですか
特発性間質性肺炎の原因はわかっていませんが、複数の原因遺伝子群と環境因子が影響している慢性炎症の病態機序が関与している可能性が考えられています。つまり、上にのべたような生活環境における「危険因子」に反応し、さらにその炎症を慢性化しやすい体質の原因となるような特徴的な遺伝子配列があると考えられています。実際にそのような遺伝子配列はいくつか報告されておりますが、かならずしもそれらで全て間質性肺炎の原因を説明しきれないことも知られています。
3. この病気ではどのような症状がおきますか
肺病変ができていても多くは無症状ですが、乾性咳嗽と呼ばれる痰を伴わない空咳で受診する患者さんもいます。日常生活での労作時呼吸困難感などを自覚するときにはすでに病気はかなり進行していますからはやめに専門施設に紹介してもらう必要があります。
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