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大動脈炎症候群について

1. 大動脈炎症候群(高安動脈炎)とは

高安動脈炎は大動脈やそこから分かれている大きな血管に炎症が生じ、血管が狭窄したり閉塞したりして、脳、心臓、腎臓といった重要な臓器に傷害を与えたり、手足が疲れやすくなったりする原因不明の血管炎です。炎症が生じた血管の部位によって様々な症状がでます。わが国の高安右人教授が1908年に初めて報告しましたので高安動脈炎と呼ばれています。

2. この病気の原因はわかっているのですか

原因は残念ながらよくわかっておりません。しかし、なんらかの感染を契機にして発症し、血管の炎症が持続しているのではないかと想像されています。

3. この病気ではどのような症状がおきますか

高安動脈炎ではどの血管に傷害が生じたかにより、症状はさまざまです。高安動脈炎の初期は、発熱や全身倦怠感、食欲不振、体重減少など感冒のようなはっきりしない症状から始まることが多いようです。その後、炎症によって血管が狭搾や閉塞、あるいは拡張してきて、頭を栄養する血管が傷害を受けた場合は、めまいや立ちくらみ、失神発作や、ひどい場合には脳梗塞や失明を起こす場合もあります。また、上肢を栄養する血管が傷害を受けると、腕が疲れやすい、脈が触れない、など多様な症状が出現します。また高安動脈炎の約3分の1の患者さんでは心臓の大動脈弁付近に傷害を生じて弁膜症を発症してしまい、程度によってはその後心臓の働きに問題が生じることがあります。また、腎臓の血管が傷害されて、腎臓の働きが低下することもあります。さらに、下肢を栄養する血管が傷害を受けて歩行が困難になる方もいます。血管が傷害されるため、高血圧症はよく見られる症状です。

4. この病気にはどのような治療法がありますか

まず、高安動脈炎による炎症を抑えることが基本になります。通常、プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイドを用います。また、血栓ができるのを予防するお薬を使います。炎症が強く、なかなかステロイドが減らせない場合は、免疫抑制剤を使うこともありますが、保険診療外になりますので、主治医と十分な相談の上使用することになります。炎症が治まった後は、症状に応じてさまざまなお薬を使いますが、血管のつまりが強くて日常生活に大きく差し支える場合は、炎症が治まってから外科的に血管のバイパス手術をすることがあります。研究班の統計では約2割のかたが手術を受けておられます。

プロフィール

堀 勇
堀 勇
社会保険労務士 堀勇
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